Dd診断力てすと『両側頬粘膜からの出血』デンタルダイヤモンド 2019年10月号

藤田温志 Atsushi FUJITA 川又 均 Hitoshi KAWAMATA
獨協医科大学医学部 口腔外科学講座
〒321-0293 栃木県下都賀郡壬生町北小林880

図❶ 初診時の顔面正貌

図❷ 初診時の下肢

図❸ 初診時の頬粘膜



患者:83歳、女性
主訴:両側頬粘膜からの出血
現病歴:3日前より両側頬粘膜からの出血を自覚し、近内科医院を受診した。内服していた抗血小板薬プレタール®の休薬を指示されるも、両側上下肢に皮下出血を認めるようになり、両側頬粘膜からの出血も持続していたため当院救急外来を受診し、口腔外科初診となった。
既往歴:高血圧症にて20年前よりアンジオテンシン変換酵素阻害薬レニベース®、サイアザイド系利尿薬フルイトラン®を内服していた。10年前にラクナ梗塞を指摘され、抗血小板薬プレタール®による抗血栓療法中である。
現症:身長136㎝、体重42.2㎏であり、来院時、体温は36.3℃、血圧131/79mmHg、脈拍数70回/分であった。前日に軽度の運動を行っており、倦怠感はなかった。顔色は良好で、眼瞼結膜に貧血はなかった。左側下唇、両側上下肢、鼠径部に皮下出血を認めた。両側頬粘膜に約30mm大の血腫があり、持続的な出血を認めた(図❶~❸)。無歯顎であり、口腔内に鋭縁となるものはなかった。
臨床検査所見:血液検査において白血球数 6,300/μL、好中球 67.2%、赤血球数 376万/μL、ヘモグロビン 11.6g/dL、ヘマトクリット 33.9%、血小板数 1,000/μL、LDH 229 U/L、尿酸 5.4mg/dL、プロトロンビン時間 11.2秒、活性型部分トロンボプラスチン時間 29.3秒であった。
画像所見:3⃣に残根があった。その他、顎骨に異常所見を認めなかった。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 血管腫
薬剤性出血傾向
③ 慢性骨髄性白血病

特発性血小板減少性紫斑病