Dd診断力てすと『歯肉の無痛性腫瘤』デンタルダイヤモンド 2019年03月号

髙田 訓 Satoshi TAKADA
奥羽大学歯学部 口腔外科学講座 〒963-8611 福島県郡山市富田町字三角堂31-1


図❶ 初診時の口腔内写真

図❷ 同、デンタルX線写真

図❸ 同、パノラマX線写真


患者:60歳、女性
主訴:左側上顎歯肉の腫瘤
家族歴:特記事項なし
既往歴:子宮筋腫、高血圧、糖尿病
現病歴:6ヵ月ほど前におよびの動揺と同部歯肉の腫瘤を自覚したが、自発痛や接触痛がなかったため放置していた。2ヵ月前にが自然脱落し、その後に同部歯肉の腫瘤が徐々に大きくなったことを自覚したため、近歯科医院を受診し、精査加療目的に紹介され当科を受診した。
現症:体格は中程度で栄養状態は良好であった。顔貌は左右対称、顔色は良好で異常所見は認められなかった。口腔内は、左側上顎大臼歯相当部歯肉に無痛性で境界明瞭、弾性軟の有茎性腫瘤(28mm×30mm)を認めた。腫瘤の表面は滑沢で肉芽様の粘膜色を呈し、対合歯の圧痕を認める部分の粘膜色はやや白色を呈していた。残存しているは、軽度の動揺を認めた(図❶)。
画像所見の周囲にわずかな骨吸収はみられたが、辺縁に粗造感はなく円滑であった(図❷)。全顎的には歯周病様の骨吸収を認めたが、上顎洞には粘膜肥厚や不透過性の亢進などの異常所見は認められなかった(図❸)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 歯肉炎
線維腫
③ メラノーマ

エプーリス