DHstyle 2019年4月号 特集2
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Special Feature 2レジン修復を勧める治療2:口腔衛生指導推奨:シュガーレスの飴やキシリトールガムなどを勧める。口腔乾燥症を緩和させるための口腔湿潤剤などを処方する5.再評価 実施後は、必ず再評価をしなければなりません。患者に新たな問題を見つけた場合は、再度歯科衛生診断と計画立案を繰り返します。 米国にはさまざまな人種や移民がいるため、いろいろな症例に触れることができます(図1、2)。育ってきた環境や生活習慣の違いを含め、患者を理解することが歯科衛生過程におけるアセスメントの重要な情報となるのはいうまでもありません。Prophylaxis Prophylaxis(Prophy)とは、米国の歯科衛生士業務のなかで最も多い治療です。 American Dental Hygienists’ Association(ADHA)によるProphyの見解では、歯肉縁上だけのスケーリングとポリッシングでは治療的効果(価値)はないというエビデンスのもと、「Prophyは歯肉縁上・縁下の歯垢、歯石、および着色を除去することで成り立つ5)」と定義されています。歯科医院によって治療時間は異なりますが、患者1人に対し40〜60分行うのが平均的だと思います。 まず、初診で来院した場合、患者の健康状態や常用薬、サプリメント、全身疾患の有無を確認し、主訴を聞いたうえでX線写真(咬翼法:図3、口腔内全体:図4)を撮影します。 その後の歯科医師のExam(診察)で治療が必要と診断された場合、トリートメントプランを作成し、患者に説明後、合意のもとで治療が開始されます。American Dental Association(ADA)のDecision Tree(図5)は、どの治療が患者に適するのかの診療基準として用います。歯科衛生士はPPDを測定して炎症がある部位などを確認し、歯科衛生過程の流れに沿ってProphyを進めます。患者の状態により、使用するインスツルメントも変更します。私のProphyのアポイントは1時間に1人ですが、すべてを終わらせるのには最低でも40分かかり、歯石の多い患者などでは1時間すべてを使うこともあります。再評価の重要性 ネバダ州では、歯科医師の診察から18ヵ月以内であれば、歯科医師の許可のもと、歯図❶ Prophyで来院した28歳、男性、コケイジャン(コーカソイド)の患者。アフリカ系アメリカ人と比較して歯肉のメラニンが少ない図❷ Prophyで来院した37歳、女性、アフリカ系アメリカ人の患者。アフリカ系アメリカ人はフッ素症の有病率が高いという報告がある特集2 米国と日本の歯科衛生士は、ここが違う!71
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