DHstyle 2019年4月号 特集2
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米国と日本の歯科衛生士は、ここが違う! 米国と日本の歯科衛生士は、同じ歯科衛生士なのになぜ給料や職業地位が異なるのでしょうか? それには、根本的な歯科衛生士教育と、社会的な評価の違いが影響しています。米国の歯科衛生士教育は、通常は2年制のAssociate of Science(準理学士)と、3年制または4年制のBachelor of Science(理学士)に分かれます。2年制の準理学士を卒業するのにも、各Dental Hygiene(DH)プログラムで決められた必須科目(一般教養)のクラスの修了と試験の合格が必要なため、入学してからの2年を加えると、卒業には約3年を要します。DHプログラム 米国の準理学士のDHプログラムでは、約86単位(2,700時間)に及ぶ授業のカリキュラムが組まれています。そのうちの650時間は実際の患者で行われる臨床実習です1)。一方、日本の3年制の歯科衛生士学科における修得単位表では、93単位が必要と記載されています2)。そのうちの9単位が診療補助論ですが、米国のDHプログラムにはこのクラスはありません。 そして大きな違いは、日本の歯科衛生士は筆記の国家試験に合格すればどの都道府県でも働けるのに対し、米国では、National Board Dental Hygiene Written Examination(国家試験)、Regional and State Dental Hygiene Clinical Examination(臨床試験)に加え、業務を行う州のJurisprudence Examination(州法試験)への合格が、歯科衛生士として働く最低条件となることです。本稿では、米国のDHプログラムの臨床実習と試験までの流れ、卒業後の業務内容についてお話しします。臨床実習 私が卒業したCollege of Southern Nevada(CSN)のDHプログラムでは、校内での臨床実習は、実際のクリニックと同じ設定で行われます。その他に校外実習として、幼稚園や小学校などでボランティア活動を行います。私たちの学年は、実習の一環として歯科医師の監督のもと、女子刑務所で受刑者へのスケーリングを数回行いました。 CSNの校内にある実習室には約20台のユニットがあり、1人の学生が1台のユニットを使用します。DHプログラムは受講できる学生数に制限がありますが、それはユニットの数に限りがあることに加え、各学生がより細かい指導を受けられるように設定されているからです。 校内実習を行うにあたり、最初に実習室内での徹底した感染対策を学びます。校内実習のクラスが終了した後は、各自の器具を洗浄・パッキングし、隣接する滅菌室で毎回滅菌してもらいます。 CSNのDHプログラムでは、学生各自で患者をスクリーニングして、実習に必要なケ米国の歯科衛生士教育特集268DHstyle 2019 04

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