本のエッセンス|はじめに:臨床の玉手匣 小児歯科篇

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『臨床の玉手匣 小児歯科篇』です。

刊行にあたって

 サッカーにしろ野球にしろ、ルールブックを熟読したからといって試合の結果に繫がるとは思えない。もちろんルールを知らなければ、試合からすぐに弾き出される。スポーツと医療は決して比べられるものではないが、歴史的に見て西欧の医師が医療教育から始まったのに反して、わが国ではまず医学を輸入した。歯科も「学」を中心にした学生講義で組み立てられており、スタイルとしてはまるでルールブック中心のスポーツに似てはいまいか。解剖学から生理学・生化学……、そして臨床でも、保存修復学、歯周病学、歯内療法学、歯科補綴学など、どの科目も「〜学」である。
 歯科医学の延長線上に歯科医療があれば、学の応用として試合の質は向上するはずである。しかし、実際の臨床現場に出ると、患者の口腔内は教科書の1頁目からは始まらない。1頁目から読み始めているようでは到底間に合わず、患者は術者が成長するまで待ってはくれないのが現実である。大学の講義で学んだ「歯科医学」は、患者の状況に合わせて「歯科医療」として応用していく作業が残されていた。その際、眼前にいる患者の問題点を把握して術者自身の問題と摺り合わせていく必要性が生ずる。つまり、問題発見・問題解決を瞬時に決定していくことが要求されるのである。本シリーズは、そのお手伝いを書籍でできないかという意図で企画された。目次に掲げられた項目と読者諸氏の悩みを照らし合わせ、検討してみてほしい。「臨床を学ぶ」第一歩になるはずである。

監修 鷹岡竜一

CONTENTS

監修・編集委員プロフィール

鷹岡竜一(たかおか りゅういち)

1990年 日本大学歯学部卒業
同  年 鉄鋼ビル歯科(東京都千代田区)勤務。宮地健夫先生に師事
1995年 鷹岡歯科医院開業

日本歯科医師会雑誌 編集委員(2015年~)
スタディーグループ火曜会
臨床歯科を語る会 他

河井 聡(かわい さとし)

1997年 東京医科歯科大学歯学部卒業
1997年 川崎市須貝歯科医院勤務
2000年 西東京市山口歯科医院継承
2015年 武蔵野市河井歯科医院開設

包括歯科医療研究会
臨床歯科を語る会

鎌田征之(かまだ まさゆき)

2001年 日本大学松戸歯学部卒業
同  年 若林歯科医院(東京都渋谷区)勤務
2005年 鎌田歯科医院(東京都杉並区)勤務
2021年 鎌田歯科医院(東京都杉並区)継承

日本歯周病学会 専門医・指導医
スタディーグループ火曜会
臨床歯科研究会 歯考会
臨床歯科を語る会 他

稲垣伸彦(いながき のぶひこ)

2005年 日本大学松戸歯学部卒業
同  年 若林歯科医院(東京都渋谷区)勤務
2013年 みどりが丘歯科クリニック(東京都目黒区)開業

日本歯周病学会 専門医
日本臨床歯周病学会 認定医
臨床歯科研究会 歯考会
臨床歯科を語る会 他

https://www.dental-diamond.co.jp/item/1116