刊行にあたって:エンドクラウン 理論と実践を徹底解説|本のエッセンス

刊行にあたって:エンドクラウン 理論と実践を徹底解説|本のエッセンス

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、エンドクラウン 理論と実践を徹底解説です。

ゼネラルデンタルカタログ

刊行にあたって

 大臼歯CAD/CAM冠(エンドクラウン)が保険収載されたことにより、「エンドクラウン」が国内で注目を集めている。エンドクラウンとは、歯冠部と髄室保持構造が一体化した歯冠補綴装置であり、CAD/CAM技術とミニマルインターベンション(MI)の考え方が融合した新しい低侵襲な補綴治療である。
 従来、大臼歯の歯内療法後の補綴治療では全部被覆冠が選択されることが多い。しかし、全部被覆冠は歯質削除量が多い補綴装置であり、クリアランス不足や支台歯の軸面高さが不足する場合は、補綴装置の破折や脱離のリスクが高くなるという欠点がある。
 一方、エンドクラウンは歯質削除量が比較的少なく、クリアランス不足の症例にも適応しやすいという従来の全部被覆冠とは異なる特徴を有する。そのため、エンドクラウンは補綴治療の新たな選択肢のひとつとして期待されている。
 現在、エンドクラウンは信頼性の高い補綴治療として評価されているものの、臨床上注意しなければならないポイントがいくつかあり、基礎知識なくして良好な臨床成績は望めない。エンドクラウン修復の成功のためには、その特徴や臨床での注意点を十分に理解しておく必要がある。
 そこで本書では、「エンドクラウン」に関する基礎研究や臨床研究など文献学的考察を行うとともに、実際の臨床における材料選択や形成方法、接着に関する注意点などを、さまざまな角度から解説する。エンドクラウンに関するわれわれの知見が、少しでも多くの臨床家のお役に立つことができれば、望外の喜びである。

2024年8月
正木千尋

CONTENTS


編著者略歴

【編著者略歴】
正木千尋(まさき ちひろ)
九州歯科大学 口腔再建リハビリテーション学分野 准教授
1999 年 広島大学歯学部 卒業
2003 年 広島大学大学院歯学研究科 修了(歯科補綴学第一講座)
2004 年 アイオワ大学歯学部 客員研究員
2005 年 九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野 助手
2007 年 同分野 助教
2012 年 同分野 病院講師
2015 年 同分野 准教授
現在に至る

渡辺崇文(わたなべ たかふみ)
九州歯科大学 顎口腔欠損再構築学分野 助教
2014 年 九州歯科大学歯学部 卒業
2019 年 九州歯科大学大学院歯学研究科 修了
2019 年 九州歯科大学顎口腔欠損再構築学分野 助教
現在に至る

駒形裕也(こまがた ゆうや)
九州歯科大学 生体材料学分野 非常勤講師
2014 年 九州歯科大学歯学部 卒業
2020 年 九州歯科大学大学院歯学研究科 修了
2021 年 九州歯科大学生体材料学分野 非常勤講師
2023 年 氷川台たんぽぽ歯科クリニック 副院長
現在に至る

エンドクラウン 理論と実践を徹底解説 表紙