はじめに:「治せる」を学べる!SRP臨床アーカイブ 長谷ますみ流クリニカルメソッド 実践編|本のエッセンス

「治せる」を学べる!SRP臨床アーカイブ 長谷ますみ流クリニカルメソッド 実践編

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、「治せる」を学べる!SRP臨床アーカイブ 長谷ますみ流クリニカルメソッド 実践編です。

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はじめに

 私が初めてSRPを行った40年前は、SRPに関する実習セミナーはなく、教本には具体的なノウハウが記述されておらず、何が正しいのかもわからない状態で臨床に臨み、いたずらに歯周組織を傷つけているように思えてなりませんでした。また、歯周組織が治癒するイメージがもてず、SRPにいつもストレスを感じていました。
 以来、さまざまなことを試し、考え、根面やエッジと向き合いながら、なんとか治癒が得られるようになるのに10年かかりました。10年という年月は、私にとっても患者さんにとっても、とても長い時間でした。
 私たちが臨床で行っている歯周基本治療は、まさに感染除去による生体の治癒応答を導くものであり、内科的要素と外科的要素を併せもつ非常に高度な医療であると思います。
 わが国に保険制度があるおかげで、深い歯周ポケットや重度の歯周病も、SRPやSPTで長期的に管理できます。また、歯科衛生士はみなさんとても真面目で、器用な指先はSRPだけでも炎症を改善させられるようになりました。
 そして40年経ったいま、ステージⅢの重度歯周病も歯周外科治療を行わずとも長期的に歯周組織の安定を得られるようになり、多くの症例がそれを立証しています。
 患者さんの健康に寄与できる歯科衛生士は歯科医療にとって有意義であり、何人にも必要とされる存在であると自負しています。加えて、東京歯科大学名誉教授の下野正基先生との出会いにより、SRPによって歯周組織学的な治癒を得られると確信したときに、さらにこの仕事のすばらしさとやりがいを感じたのです。
 緻密なSRPの技術による感染除去は、生体の治癒におおいに貢献できることを証明したいと、本書を企画しました。
 本書が歯周病で悩む患者さんの健康を取り戻すために日々臨床に励む皆様の一助になれば幸いです。

2024年7月
長谷ますみ

CONTENTS


「治せる」を学べる!SRP臨床アーカイブ 長谷ますみ流クリニカルメソッド 実践編 もくじ

「治せる」を学べる!SRP臨床アーカイブ 長谷ますみ流クリニカルメソッド 実践編 もくじ

編著者プロフィール

長谷ますみ(ながたに ますみ)

1964年 大阪にて出生
1985年 大阪府立公衆衛生専門学校歯科衛生学科 卒業
同 年 大阪府吹田市 岡歯科医院(岡 賢二先生)にて、10年間勤務
1995年 プロフェッショナルハイジニスト(フリーランス)として独立。複数の診療所にて、保険診療主体に歯周治療と予防管理に携わる
2002年 みんとの会を設立
2004年 クリニカルハイジニストを育成のためのmint-seminar事業を立ち上げる
2011年 NDL 株式会社 設立

現在、NDL mint-seminar 開催セミナーおよび院内セミナーにて、SRPハンズオンセミナーなどを全国で開催。誰もができる歯周治療を目指して後進の育成に努めている

おもな著作物
『新版SRP のArt & Science 長谷ますみ流クリニカルメソッド』(単著)
『ハイジニストワークのクリニカルQA』(共著)
『患者さんにもっと喜ばれる歯ブラシコーディネート術』(共著)
[いずれもデンタルダイヤモンド社]、他多数


下野正基(しもの まさき)

1970年    東京歯科大学 卒業
1974〜1976年 イタリア・ミラノ大学 客員研究員
1991年    東京歯科大学 教授
2011年    東京歯科大学 名誉教授

おもな著作物
『決定版 治癒の病理 臨床の疑問に基礎が答える』医歯薬出版(単著)
『肉芽の科学と臨床』クインテッセンス出版(共著)
『新口腔病理学』医歯薬出版(共著)、他多数

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