本のエッセンス|刊行にあたって:海外文献から読み解くペリオの世界 歯周外科治療篇

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『海外文献から読み解くペリオの世界 歯周外科治療篇』です。

刊行にあたって

 2021年に発刊した『海外文献120編から読み解くペリオの世界』は、歯科衛生士向けの専門誌「DHstyle」に10年間連載した「Let’s study! 海外ジャーナル」をまとめたものです。取り上げる論文はなるべく最新のもので、かつ臨床に役立つテーマであることにこだわり、歯科衛生士業務の範囲内、とくに歯周基本治療やメインテナンス、リスクファクターなどのトピックを中心に紹介しました。10年分の原稿を改めて見直すとそれなりにテーマが分散しており、よい手応えを感じながら2冊にわたって出版でき、おかげさまで好評を博しました。
 しかし、2冊をまとめる作業を行うなかで、歯科医師に特化した領域である「歯周外科治療」の内容がほとんど取り上げられていなかったことに気がつきました。ここ10年の主要な歯周外科治療にかかわる論文を1冊の書籍としてまとめたいと思ったものの、自分一人でその作業を行うには気が遠くなるほどの時間と労力を要するとも感じました。そこで思い立ったのが、歯科医学を科学的視点から捉えられ、論文の読解にも長けている歯科医師と執筆を分担することでした。共著者の選出にあたり、大先輩に依頼するよりも、私と年齢があまり変わらないか、あえて若い先生にお願いしたいと考えました。正直にいえば、今回は私自身がこの先生が書いたものを読んでみたいと思うメンバーばかりに依頼し、でき上がってくる原稿をチェックするのが楽しみでした。
 論文を読むうえで重要なのは「解釈」で、そういう意味で本書の肝は「解説」にあると思います。各執筆者の内容はどれも本当にすばらしく、共感できるものばかりでした。本書は「歯周外科治療のエビデンスを集めた書籍の決定版」であると、自信をもっていえる内容になったと思っています。

関野 愉

CONTENTS

編著者プロフィール

関野 愉(せきの さとし)
1991年 日本歯科大学新潟生命歯学部 卒業
1996年 奥羽大学歯学部歯周病学大学院 修了 (歯学博士)
1999年 スウェーデン、イェテボリ大学歯周病学講座 留学
2003年 アメリカ、フォーサイス歯科研究所 留学
2005年 イェテボリ大学大学院 修了 (歯学博士)
2006年 東北大学歯学部予防歯科大学院 研究生
2007年 日本歯周病学会指導医取得
2011年 日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座 准教授

所属学会・資格・役職など
日本歯周病学会 専門医・指導医
日本顎咬合学会 指導医・常任理事
日本老年歯科医学会
日本障害者歯科学会
日本口腔インプラント学会
日本歯科医学教育学会 他

著者一覧

大月基弘 大野純一 加藤雄大 倉治竜太郎
小牧令二 佐野哲也 清水智幸 杉田裕一
沼部幸博 福井秀和 福田知樹 矢吹一峰