書籍制作秘話『世界一わかりやすい歯科材料入門』おまけトーク

書籍『世界一わかりやすい歯科材料入門』をご執筆頂いた、片岡 有先生(昭和大学歯学部)と川島貴重先生(新宿医療専門学校)に本がどうやってできたのかを、楽しくお話し頂いた、制作後日談をお届けします。

本はどうやってできた?

片岡

この本、『DHstyle』での連載の二年間分がまとまってますけど、最初に総論があって、中にトピックスが一個ずつあってという構成で、世界一わかりやすいです(笑)

川島

いや私これ本当に世界一わかりやすいと思ってるんですけど。
いっぱい先生に質問しましたもんね。

片岡

毎月1回の連載だったんですけど、実際は1、2時間集中して二人で話して、やっと4ページができるんですよね。

川島

もうしょっちゅう打ち合わせしてましたもんね。オンラインで。

片岡

打ち合わせは最初30分始まんないですよね…
まず近況報告を話して…

執筆で一番苦労したことは?

川島

先生は、何が一番大変でしたか?

片岡

やっぱり新しい材料で間違っちゃいけないなってとこがあるから、言葉の使い方はすごい気をつけました。
なんかこう一般の臨床で、先生が使っている言葉と学術的な言葉で、若干違うところがあるので、それもあえて2つとも載せて、それは学術用語だよこっちは一般的な診療で使ってる通称ですっていう説明は苦労しましたよね。
川島さんがそれを調べる当番だったので…。

僕は自分の専門の教科書だけ見てやって、川島さんがネットとかみたり、自分の歯科衛生士向けの本を読んだりして、言葉が一番苦労しましたね。

川島

でも、例えばこういう材料でましたよっていうときに本で解説した材料にふれていると、ちょっといま旬だね! とは思いましたね。

片岡

いちおう旬な内容もまとめてはいるんですよね。
ジルコニアも載ってるし、CAD/CAM冠も載ってるし……今はもう新しい材料がどんどん出てくるので、なるべくそれにふれました。
でも新しい材料だけ知っていても、新しい材料の良さってわからないので、あえて古い材料や歴史的な材料も全部ふれることで新しい材料のトピックスを知ってもらいたいなと思っては書いていますね。
新しい材料が全ていいと思ってる人がいるから。
実は古い材料で問題なく使われてる材料にはそれなりのエビデンスがあったり、理由があったりするんで、そういうことには、ちょいちょいふれられているんですよね。

川島

ビックリすることいっぱいありますもん。
なんかあの材料はこうだから、こういう効果があるんだとか、なんかその根拠を教えてもらっていますね。

歯科材料の教科書にならないように気をつけた

片岡

ただの教科書にならないようには気をつけました。
教科書になっちゃうと、もう教科書のほうがいいですしね。
その教科書を読むための行間を埋めるためのものですね、簡単にいうと。
ふだんさらっと読んでよく分かってねえなぁ、ただ暗記してるだけのようなところを……

川島

なるほどって! わかります。

片岡

あーいい言葉思いついた…
「世界一行間を読む歯科材料入門」でよかったかもしれないですね……タイトル間違えたかもしれませんね(笑)

川島

世界一には変わりないですもんね。片岡先生はやっぱり専門の先生なんで。これは世界一わかりやすいです(笑)
何かと難しくなりがちなんですけど、私が「先生それ全然分かりません」とかいって食い下がって説明してもらいました。

片岡

いままで川島さんに認められたのはお酒とこの本の内容だけ、あとは蹴飛ばされてますけど(笑)

川島

仲良くやっています(笑)

片岡

知ってる人は、なんとなくわかると思いますけどね。

川島

はい、続けましょうねこれからも。

片岡

ほんとうにあらためて読むと面白い。

川島

意外と内容めちゃくちゃありますもんね。
「印象」、「石こう」「ワックス」「セメント」…

片岡

実はまだ(DHStyleで)連載続いているので、第2弾もでるといいなぁと…。

川島

お願いします! 出版させてください(笑)

片岡

いやいや、けっこう面白く書けましたね。
2年間やってこんな形になるなんて、実はすごいうれしいです!

川島

うれしいです!

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世界が急速にデジタル化へと移行するなか、歯科医療もその影響を多分に受けています。それに伴い、次々と新しい歯科材料が上市され、取り扱い方法を含めて学生時代の知識だけでは対応できなくなっています。しかし、歯科材料の基本知識がベースとしてなければ、新たな情報を積み重ねることはできません。何より、歯科材料の基本を理解したうえで正しく取り扱えれば、歯科医療の質の向上、ひいては予知性の高い医療の提供へと繫がるでしょう。
本書は、歯科材料や歯科医療器械の基本を楽しみながら学べるように構成しています。そして、歯科医師や歯科衛生士をはじめとする歯科医療従事者はもちろん、学生にも理解できる平易な作りになっています。ぜひご活用ください。

著者プロフィール

片岡 有(かたおか ゆう)
2004年 昭和大学歯学部 卒業
2008年 昭和大学大学院歯学研究科 修了 博士(歯学)、 助教
2017年 昭和大学歯学部 講師(歯科保存学講座 歯科理工学部門、歯学教育学講座)
現在に至る

【所属学会】
日本歯科理工学会、日本口腔インプラント学会、日本顎顔面インプラント学会、日本デジタル歯科学会、日本歯科医学教育学会、国際歯科学士会 日本部会

川島貴重(かわしま たかえ)
2004年 新東京歯科衛生士学校 卒業 歯科医院勤務
2012年 新東京歯科衛生士学校 専任教員
2014年 新東京歯科衛生士学校 学科長
2019年 新東京歯科衛生士学校 学部長
2022年 新宿医療専門学校 教務部 係長
現在に至る

【所属】
2016年~2020年 新東京歯科衛生士学校 同窓会会長、2019年 東京都歯科衛生士会 西南ブロック長・東京都歯科衛生士会 紹介事業検討委員、2020年 東京都歯科衛生士会 紹介事業推進委員、日本老年歯科医学会 代議員、2021年 東京都歯科衛生士会 学術担当理事