2018年4月号 症状がない下顎前歯部のX線透過像
有吉靖則
Ken OMURA
Ken OMURA
市立ひらかた病院歯科口腔外科
〒573-1013 大阪府枚方市禁野本町2-14-1
〒573-1013 大阪府枚方市禁野本町2-14-1
図1初診時のパノラマX線写真
図2X線CT像(骨レベル像)
図3MRI像(冠状断)
患者: | 17歳、男性 |
主訴: | 左側下顎前歯部の精査依頼 |
既往歴: | 顎骨への外傷の既往はなく、その他に特記事項なし |
現病歴: | 当科初診の1週間程前に、う蝕治療を目的に近医歯科を受診した。その際、パノラマX線写真にて左側下顎前歯部のX線透過像を指摘され、精査、加療目的に当科を紹介された。 |
現症: | に遠心傾斜、には近心傾斜を認めたが、両歯ともに生活歯で、動揺、打診痛は認めなかった。下顎前歯部頬舌側ともに骨膨隆はなく、骨欠損は触知しなかった。 |
画像診断所見: | パノラマX線写真にて、、間に白線により囲まれた境界明瞭なX線透過像を認めた。隣接歯に歯根吸収は認めなかった(図1)。X線CTでは、境界明瞭な腫瘤性病変として描出され、唇舌的膨隆は認めなかった(図2)。MRIでは、T1強調像にて中間信号、T2強調像にて低信号に描出され、内部は不均一であった(図3)。なお、10年ほど前に撮影されたパノラマX線写真では同透過像は認められなかった。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.歯原性角化嚢胞 | |
2.類(表)皮嚢胞 | |
3.単純性骨嚢胞 | |
4.顎骨中心性がん |