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2018年3月号 「歯根側面に認められたX線透過像」
2.垂直性歯根破折

 本症例は、側枝による感染根管の可能性も考えられたが、瘻孔からポイントを挿入して撮影したX線写真がメタルコア下部を指していたことから、歯根破折の可能性が高いと考えた。そこで、実際に患部の歯肉弁を剥離して歯周状態を確認したところ、歯頸部から5mmほど下縁に楕円状の骨の裂開が認められ、歯根近心中央部分に垂直性歯根破折を確認した(図4)。

 歯頸部から根尖にかけての破折(歯頸部破折)は、限局した深い歯周ポケット形成が認められるため比較的診断しやすい。しかし、根中間部分の微小亀裂の場合、診断の指標となる歯周ポケット形成が認められず、CT画像でもメタルコアによるハレーションが診断の妨げとなるため、歯肉弁を剥離して直接患部を確認しないと確定診断が困難であった。

 治療に関しては基本的には抜歯であるが、最近では、マイクロスコープを使って破折線を接着性レジンセメントで封鎖して保存する方法や、口腔外で破折部分を接着して再植する方法なども報告されており、本症例も接着性レジンで封鎖して保存を図った(図5〜7)。歯根破折のリスクファクターを考慮したうえで、早期の段階で正確な診断をすることが保存の可否に繋がると思われる。また、根管治療において、不必要な過度の根管拡大や過度の側方加圧は、歯根破折の原因となるので注意しなければならない。

【参考文献】

1)木村祐一:垂直性破折歯の文献的考察.日外傷歯誌, 3 (1):1-8,2007.
2)菅谷 勉:垂直歯根破折の実態と接着治療の理論的背景.日補綴会誌,6(1):14-19,2014.

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図3 摘出した腫瘤と黄白色の割面
図4 rd3部の歯肉弁を剥離したところ、
歯根中央部分に垂直性歯根
破折(矢印)を確認した
図5 再初診時の口腔内写真。自力では閉口できない状態
図5 rd3歯根破折部分を接着性レジンで
修復


図3 摘出した腫瘤と黄白色の割面
図6 rd3骨欠損部分を吸収性GTR
膜で被覆
図5 再初診時の口腔内写真。自力では閉口できない状態
図7 術後1ヵ月目のrd3部の口腔
内写真


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