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2017年12月号 インプラント治療後の疼痛
4.原発性骨内がん

 初診時の血液検査で、WBCとCRPが基準値内であり、オトガイ神経麻痺や開口障害がみられなかったことから、インプラント周囲炎や下顎骨骨髄炎は除外された。CTでは、右側下顎臼歯部に骨破壊像を認め、悪性を疑い生検を行った(図3)。追加で行った血清検査のSCC抗原の値は4.0ng/mL(基準値:1.5ng/mL未満)と高値を示し、生検の結果は原発性骨内がん(扁平上皮がん)であった(図4)。

 本症例では、右上内頸静脈リンパ節に転移が疑われ、根治的頸部郭清術、下顎区域切除術、下顎再建用チタンプレートと大胸筋皮弁を用いた下顎再建術を行った。術後経過は良好で、術後3年が経過した現在も、外来で経過観察を行っている。

 原発性骨内がんは、WHOの歯原性腫瘍分類(2017年改訂)で歯原性がん腫に定義されている。原発性骨内がんは臨床的に初期診断が困難であり、発見されたときには広範囲な顎骨内浸潤が認められ、予後不良である。また、口腔粘膜が正常様にみえることから、口腔粘膜から発生する口腔がんとは違い、早期発見が困難である。

 さらに、本症例のようにインプラント治療を受けた部分に発生した場合には、インプラント周囲炎との鑑別がきわめて困難である。パノラマX線写真で不規則な骨吸収像がみられた場合には、CT検査や高次医療機関への紹介を躊躇すべきではない。

 本症例では、早期の発見と治療により、経過良好である。


図1 CT写真
図3 CT写真
図2 生検時の病理組織像(H-E染色)
図4 生検時の病理組織像(H-E染色)

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