2017年6月号 左側舌背部の無痛性の腫瘤
竹内純一郎1) 古森孝英2)
Junichiro TAKEUCHI Takahide KOMORI
Junichiro TAKEUCHI Takahide KOMORI
1) 北播磨総合医療センター 歯科口腔外科
2) 神戸大学大学院 医学研究科外科系講座 口腔外科学分野
2) 神戸大学大学院 医学研究科外科系講座 口腔外科学分野
図1 初診時の口腔内写真。左舌背部に30o程度の腫瘤を認める
図2 初診時のMRI画像
a:T1強調画像、わずかに高信号を呈する、b:T2強調画像、不均一な高信号を呈する
患者: | 17歳、女性 |
主訴: | 舌に何かできている |
現病歴: | 2ヵ月前より舌に腫瘤を認めたが改善しないため、かかりつけ歯科医院を受診した。精査および加療目的のため、当科紹介初診となった。 |
既往歴: | 花粉症 |
現症: | 体格中等度、栄養状態良好。左側舌背部に30mm程度の、可動性のある弾性硬の無痛性の腫瘤を認めた。表面粘膜は平滑で、正常粘膜色を呈していた(図1)。波動は触知されなかった。舌の運動障害および知覚障害は認めなかった。また、咀嚼困難および嚥下困難は認めなかった。 |
臨床検査所見: | 血液検査において、特記すべき所見なし。 |
画像所見: | MRI所見では、T1強調画像でわずかに高信号を示し(図2a)、T2強調画像で不均一な高信号を示す22×13×16oの境界明瞭な腫瘤が認められた(図2b)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.甲状舌管嚢胞 | |
2.リンパ管腫 | |
3.神経鞘腫 | |
4.類皮嚢胞 |