2017年4月号 下顎の違和感
小笠原健文
Takefumi OGASAWARA
Takefumi OGASAWARA
町田市民病院 歯科・歯科口腔外科
〒194-0023 東京都町田市旭町2-15-41
〒194-0023 東京都町田市旭町2-15-41
図1 初診時のパノラマX線写真
図2 初診時のCT画像(矢状断)
患者: | 30歳、女性 |
主訴: | 右側下顎の違和感 |
既往歴: | 特記事項なし |
家族歴: | 特記事項なし |
現病歴: | 約2ヵ月前から右側下顎に違和感を生じていたが、疼痛などの症状はないため、そのまま放置した。約2週間前に同部の違和感が増強し、軽度疼痛を認めたため、歯科医院を受診し、X線にて下顎骨に異常所見を指摘された。精査加療目的に当科を紹介され、来院した。 22年前に某大学附属病院口腔外科にて同部の手術を行っており、下顎骨嚢胞の診断であった。また、15年前に再発し、同病院で再手術を施行したものの、診断名は不明であった。 |
現症: | 体格中等度、栄養状態は良好であった。右側頬部に腫脹はなかった。また、欠損した部歯肉に発赤、腫脹などの炎症所見および知覚鈍麻はなかったが、軽度圧痛を認めた。 |
血液検査: | 特記すべき所見はなかった。 |
画像所見: | パノラマX線写真では、欠損した部骨内に、多房性、泡沫状の透過像を認め、の遠心根は吸収していた(図1)。CT画像では同部に細かい泡沫状の隔壁を有しており、内部に石灰化像はなかった。境界は比較的明瞭で、周囲への浸潤は認めなかった。また、下歯槽神経には近接していなかった(図2)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.エナメル上皮腫 | |
2.歯根嚢胞 | |
3.下顎骨中心性がん | |
4.歯原性粘液腫 |