衛生士,歯科,dental,Dental Diamond,デンタルダイヤモンド

衛生士,歯科,dental,Dental Diamond,デンタルダイヤモンド
徹底追求 どっちがどっち?
支台歯形成、窩洞形成
エアータービン VS 併用コントラ
日本大学歯学部
補綴学教室クラウンブリッジ学講座
五十嵐 孝義
追求1比べてみよう、どっちがどっち?
 保存修復における窩洞形成は成形充填を行うための内側性窩洞形成であり、それに対してクラウンブリッジにおける支台歯形成は外側性の形成であるので、同じ歯質の切削でも形成状態が非常に異なる。
 支台歯形成は軸面にアンダーカットが存在したり、フィニッシングライン(クラウンなどのマージン相当部)の削除・未削除面が不明確で、かつ凸凹があり一線をなしていないと、製作された補綴装置はマージンが開いたり、不適合となる。このことより、支台歯形成面はアンダーカットがなく、しかも平滑・滑沢であることが要求される。
 エアータービンは効率よく切削(いわゆる多量切削あるいは概略的切削=グロスリダクション)が可能であり、併用コントラは従来の低速電気エンジンあるいはマイクロモーターの頭部にエアータービン用の切削器具を装着し、エアータービンより低速で専ら修正・研磨用に使用されるもので、その目的がまったく異なるので、合目的的に使用することが重要である。
追求2どっちにしても、どんなもの?
●エアータービン
 エアータービン用のコントラアングルは各社より種々のものが発売されているが、回転速度も毎分約30〜40万回転、エアーベアリングあるいはボールベアリング使用、頭部の大きさ、アングルの違い、グリップの太さ・形態、注水孔の数と配列形態(シングルスプレー、トリプルスプレー、図1a、b)、グラスファイバーを使用しての照明装置の有無(図2)、バーの着脱方式などの差はあるが、いずれにしても大差はない。
 やはり、違いは一般の大人を対象としてスタンダードヘッド(レギュラーシャンクの長さのバーを使用し、切削具の頭部形態は千差万別であり選択の範囲が広いもの、図3の左側)と小児あるいは開口量が得られない患者のためのミニヘッド(ショートシャンクのバーのみを使用し、切削具の頭部の長さと大きさが異なり種類が非常に少ない、図3の右側)の2種類がある。
 チャックはすべてメタルチャックを使用しているがバーの着脱方法として、
(1)一般的な撤去用の金属棒で頭部後方からバーを押し出す方法(フリクショナルチャック式、FG式、図4)
(2)頭部後方を押してバーを着脱する方法(プレスチャック式、プレスボタン式、プッシュボタン式、図5)
(3)頭部後方でねじ留めする方式(スクリューチャック式、図6)
の3種類があるが、最近はバーの着脱に特別な道具がいらない(2)が主流のようである。
図(2) 照明装置の付着位置はほぼ同じであるが、注水孔は図1bとは異なる
図(1)a、b 切削時の注水孔の配列が異なる
図(4) フリクショナルチャック方式 図(5) プレスチャック方式
図(3) 左側:大人対象用のスタンダードヘッド(ロングシャンクバー用) 右側:子供対象用のミニヘッド(ショートシャンクバー用) 図(6) スクリューチャック方式
 エアータービンは、空気や水の噴出を止めるとこれらが逆流し、その際口腔内の唾液や血液あるいは削りかすを吸い込むことが指摘されている。感染予防ということで停止時に生じるヘッド内負圧による血液、唾液、切削屑などのタービン本体への侵入を防止するクリーンヘッドシステム、またカップリング内に内蔵され血液・唾液などが水スプレー回路に逆流することを防止する逆止弁機構などが設置されるようになっている。
 しかし一番問題となる点はエアータービンヘッドの使用後の滅菌・消毒をどのように行うかである。
 日本では法律的にエアータービンヘッドの患者ごとの滅菌・消毒は要求されていないが、アメリカではキンバリー事件以後、各州ごとに切削器具を含め、滅菌・消毒が義務付けられており、もし実態調査時に滅菌・消毒していないと開業停止となる。このため患者ごとにエアータービンヘッドは滅菌・消毒してから使用しなければならない。調査によると、アメリカの開業医は平均約9.7本のエアータービン・コントラアングルを保持して滅菌・消毒しながら使用している。そこで問題となるのは、滅菌・消毒を続けると平均約10.6ヵ月で潤滑油が内部でこびり付き、動きが悪くなりトルクも低下するので、新品と取り替えなければならない、ということである。
 日本では、前述のように感染防止機構が付き、逆止弁機構があるというので、使用前後それぞれ約10秒間空回転させ、空気と水を噴出させ逆流により懸念されるチューブ内への汚物を排出させたり、口腔内でスイッチを切らずに口腔外に取り出してからスイッチを切ることが推奨されている。また消毒用アルコール綿球内で10〜40秒間空回転させた後、頭部を消毒用アルコール綿で清拭する方法や、10秒間空回転させ、75%の消毒用アルコール中で回転余力を残した状態で液体中に浸漬し回転を止め、約5分後に取り出し、10秒間空回転させ、タービンヘッド内に残留するアルコールを排出させ使用することが奨励されている。
 毎回滅菌・消毒するとエアータービン・コントラアングルの破損・消耗が激しく、また手入れのために人手がかかることより治療費に転嫁できるかというと、アメリカでもそういうことは不可能で、歯科医師会で大きな問題となっており、この滅菌・消毒は以下に述べる増速コントラアングルや普通のマイクロモーターのコントラアングル使用時でもまったく同じ操作を行わなければならない。
●併用コントラアングル
 エアータービン用バーを従来型のエンジン・コントラアングル(現在はほとんどがマイクロモーターを使用)に付けて使用され、増速コントラアングルという名前で売り出されている(図7)。ギヤー比が普通1:5であることから5倍増速などと命名されている。バーの着脱方式は前述の一般のタービンヘッドと同じく(1)、(2)および(3)の3種類がある。
 エアータービンで形成した面はどうしても粗であるので、最終的に増速コントラアングルを使用して形成面を修正・研磨することが理想であるが、あまり行っている人はいないようである。エアータービンのほうが切削能率の面からも効率的で、ダイヤモンド粒子の粗さの違いにより、切削面の粗さをコントロールできるからこちらを選択するのであろう。
図(7) マイクロモーターに付けて使用する併用コントラアングル(各社で種々の形態のものが販売されている) 図(8) ロングシャンクのダイヤモンドポイントバー(左より、特殊形態の荒削り用粗粒、普通粒、微粒(F,f)、超微粒(SF,ff2本)
 
図(9) 左側:ミニヘッドにショートシャンクバーを付着 右側:ミニヘッドにロングシャンクバーを付着、トルクがかかりヘッドがすぐ壊れる  
●使用する切削用バー
 ダイヤモンドバーではダイヤモンド粒子の粗さの違いにより粗粒(コース)、普通粒(レギュラー)、微粒(ファイン、F、fが番号の前か後に付き、シャンクに色の線が付いてる)、超微粒(スーパーファイン、SF、ffが番号の前か後ろに付き、頭部が金色あるいは薄ねずみ色をしている)の4種類が販売され、バーを変えることにより切削面の表面粗さが自動的にコントロールできる(図8)、切削器具の速度が遅い場合には同じ粒度のバーを使用しても遅いもので切削したほうの表面粗さは小さくなることが知られている。そしてシャンクの長さはスタンダードヘッド(レギュラーシャンクのバーを使用)用のものが一般的で、バーの頭部形態としてスーパーファインでも比較的多数販売され、辺縁形態とほぼ同じものの使用が可能である。しかし、ミニヘッド(ショートシャンクのバーのみを使用)用のものはバーの頭部形態の種類が少ない。レギュラーシャンク用のバーをミニヘッドに使用するとシャンクが確実に保持されず、半チャックの状態となり、その上バーの頭部が大きいのでメタルチャックに余計なトルクがかかり、タービンヘッドの消耗が激しくなるのでメーカーは使用を勧めていない(図9)。
 またカーバイドバーにもレギュラー、フィニッシング、ファインフィニッシングと3種類が準備され、シャンクの長さはレギュラーシャンク用とショートシャンク用のものがそれぞれ発売されているので、対応するタービン・コントラアングルあるいは併用コントラに挿入して使用すべきである。
 またカーバイドバーは形態により30万回転以下での使用の場合はマイクロモーターハンドピースとボールベアリング式タービンにのみ使用することが推奨されており、16万回転以下での使用が推奨されているバーはマイクロモーター・ハンドピースのみに使用するので、タービン用でないことを知り、区別して使用すべきである。
 さらにカーボランダムポイントFG(図10)およびホワイトポイントFG用(図11)はそれぞれ12形態がタービンのコントラアングル用として市販され、レギュラーシャンク用のみとして使用可能であるが、ショートシャンク用には販売されておらず、使用できない。また、カーボランダムポイントCAおよびホワイトポイントCAは低速のマイクロモーター・コントラアングル用として同じく12形態はもちろん、その他の形態も発売されている。いずれも頭部の形態はダイヤモンドジスクやダイヤモンドドレッサーを用いて辺縁形態と同じ形態に修正して使用する(図12)。
図(10) タービン用カーボランダムポイント。ロングシャンクしか発売されていない。HP,CA用もある 図(11) タービン用ホワイトポイント。ロングシャンクしか発売されていない。HP,CA用もある
 
図(12) ホワイトポイントなどは頭部をドレッシングして形態を整え使用することが重要である  
追求3どこが、どれだけ、どう違う?
 支台歯形成時の歯質切削の注意点を以下に示す。
(1)手指の固定を確実にする。
 バーは確実にチャック内に挿入し、支点をしっかりと求め(レストフィンガーを求める)、可能なら反対側の手指でタービンヘッドや併用コントラを誘導し、ブレのないようにして平行に削除すると(図13)、平滑な切削面が得られる。これは部位によりレストフィンガーが容易に求められる部位はおのずから決まってしまうので、切削器具による差はあまり認められない。
(2)切削時の刺激を最小とする
 バーは確実にチャック内に挿入し、可及的に頭部の小さい切削具を使用する。このためには頭部後方でねじ留めする方式(スクリューチャック式)のものを使用するのがよい。
(3)切削器具の選択と整備
 やはりダイヤモンド粒子の細かい切削具を用いるほうが切削面の粗さは小さくなるので、グロスリダクション(概略的形成)時は粗いもので、仕上げになるほどFやSFを選択・使用するのが効率的である。また切削にともないダイヤモンド粒子の脱落や切削屑の目づまりがあるので、超音波洗浄後タービンバー専用の洗浄液を使用し、絶えず新しいダイヤモンド粒子が露出するようにしておくことが肝心である。
(4)切削器具の操作法
 フェザータッチで間欠的に軽圧で削除し、タービンは60〜120g、低速のマイクロモーターでは1,000g以下で使用する。タービンの回転とタービンポイントの切削移動方向が同じ切削法をアップカット、その反対がダウンカットというが、アップカットのほうが切削面が滑沢になるといわれている。しかし、実際の支台歯形成時は術者と患者との相対的位置関係から、必ずアップカットあるいはダウンカットとなるのではなく、手首の方向に引いて切削する“引き切り”あるいは手首から遠ざかるように切削する“押し切り”とならざるを得ない。手首の自然な動きである“引き切り”がやはり面粗さが小さくなる傾向であるが、それより、ショルダーの幅やフィニッシングラインの一線性と明確度(ラフ値)などへの影響が強く出て、切削具の粗さの差が一番大きく現われるので(図14)、細かい粒子のもので修正・研磨をするほうが効率的である(図15)。
図(13) 切削面およびフィニッシング面を平滑にするには、タービンのヘッドを他方の手指で誘導することが重要である 図(14) 普通粒のダイヤモンドポイントで切削した歯面の超硬質石膏面(粗さを計測するまでもなく肉眼で一目瞭然である、図(15)参照)
 
図(15) 超微粒のダイヤモンドポイントで切削した歯面の超硬質石膏面(図(14)参照)  

(5)十分に注水し冷却する
 高速切削ではもちろん、低速切削でも、注水せずに支台歯形成すると、歯髄壊死が起こる。
 エアータービンは高速下の切削であるので歯質および歯髄に発熱による障害を与えないよう、留意する必要がある。歯髄温度が通常の温度より2.8℃(5°F)上昇した状態で10秒間さらされると、下部のオドントブラスト(象牙芽細胞)にダメージを生じ、5.6℃(10°F)で10秒間ではさらに深い部位にダメージを生じ、16.7℃(30°F)で10秒間さらされると歯髄壊死を生じることが報告されているので、十分に注水する必要がある。また最終の修正・研磨時に低速のマイクロモーターを使用した場合でも、所定のダイヤモンドあるいはカーバイドバーを付着し、同じく注水下で辺縁付近を滑沢に仕上げることが重要である。
追求4比べてみたら、どっちがどっち?
 エアータービンは切削効率が良く、治療の所要時間の大幅な短縮が可能である。その上バーの形態も種々用意され、ダイヤモンド粒子の粗さは4種類、カーバイドバーでも3種類用意されているので、基本的にはタービンを用いてグロスリダクションを行い、その後辺縁形態に一致した微粒子あるいは超微粒の修正・研磨用のバーに交換して仕上げるのが得策であろう。
 しかし、最近使用される頻度が高くなっているキャスタブルセラミックスのインレー、アンレー、クラウンおよびラミネートベニアなどの窩洞形成あるいは支台歯形成では、形成面が粗であったりアンダーカットがあると容易に破折あるいはチッピングしてしまうので、増速コントラアングルを用い修正・研磨をすることが非常に重要である。
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