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2017年8月号 潰瘍形成を伴う臼歯部の疼痛
4.メトトレキセート関連リンパ増殖性疾患

  メトトレキセート(methotrexate:MTX)は、古くは葉酸代謝拮抗剤に分類される抗がん剤として使用されていたが、現在では、関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)に対する標準的治療薬として広く用いられている。一方、その有害事象として、骨髄抑制や間質性肺炎などの致死的合併症を生じることがあり、近年、悪性リンパ腫(malignant lymphoma:ML)などのメトトレキセート関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorders: MTX-LPD)発生への関与が注目されている。
  MTX-LPDは、2008年のWHOによるリンパ系腫瘍の組織分類第4版において、「他の医原性免疫不全症関連増殖性疾患」の一つに分類されており、RAの診療ガイドラインにも記載されている。MTX-LPDには、腫瘍性疾患(ML)、非腫瘍性疾患(反応性過形成)、境界領域病変があるが、いずれの場合もその治療にはMTXの中止が推奨されている。MLに関しては、薬剤中止のみで約3割で寛解が得られ、とりわけEBウイルス陽性のものは、MTX中止によりその多くが寛解するとされる。
  本症例は、熱発などの臨床所見と血液学的検査所見より、感染症に起因した口腔症状は否定的であったため、悪性疾患を疑い、初診時に生検を施行した。病理組織学的検査所見よりMLの確定は得られなかったが、MTX-LPDが示唆されたため、処方医に対診のうえ、MTXを休薬した。同時期に撮影されたPET-CTでは、右側下顎以外に左側舌扁桃相当部にも、FDGの集積亢進した腫瘤を認めたため、耳鼻咽喉科にて生検を行った結果、MTX-LPDの可能性が高いとの診断を得た。
  MTXの休薬により右側下顎と舌根部腫瘤は縮小傾向を示し、MTX中止2ヵ月後にいずれの病変も完全に消失した(図3、4)。MTX中止から半年が経過しても病変の再燃は認められなかったが、MTX-LPDは一度寛解を得られた症例においても、半数で再燃がみられるとされており、今後も注意深い経過観察が必要である。

図3 右粘膜の血腫が主訴の成人女性
図3 MTX中止2ヵ月後の口腔内写真
図4 前腕の出血斑(矢印)
図4 PET-CT画像



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