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2017年4月号 下顎の違和感
1.エナメル上皮腫

  エナメル上皮腫は、顎骨に発生する最も代表的な歯原性腫瘍である。

  わが国の好発年齢は10〜20歳代で、好発部位は下顎80%、上顎20%である。上顎は、上顎洞内に進展した場合に症状の出現が遅れることがあるため、高齢者に多い。下顎の好発部位は下顎枝が大部分を占め、上顎は前歯部から大臼歯部に及ぶ。原則的に顎骨内に発症するが、稀に軟組織にも認められる。

  臨床症状は、無痛性の顎骨の腫脹(90%)としてみられる。この無痛性腫脹は数年に及び、次第に大きくなる。

  エナメル上皮腫は、X線所見により発見されることが多い。従来からX線所見を単房型、多房型、蜂巣型に大別し、これらの混合型もある。エナメル上皮腫の50%は、単房型で10〜30歳代に多い。多房型(蜂巣型を含む)は40%で、全年代層にみられる。10%は混合型で、40歳代以降に多い。エナメル上皮腫の約50%に埋伏歯がみられ、10歳代では第2小臼歯、20歳代では智歯の埋伏が多く、30歳代以降では埋伏歯を伴わないものが多い傾向にある。

  治療方針は、画像所見、発生部位と年齢、組織型と浸潤像から検討される。
処置および経過:全身麻酔下にて抜歯、下顎骨部分切除術、腸骨移植術を施行。移植部にはチタンメッシュを用い、被覆した(図3)。術後はチタンメッシュの露出もなく、経過は良好であった。手術から約1年1ヵ月後に入院、全身麻酔下にてチタンメッシュ除去、インプラント埋入術を施行した(図4)。現在、局所の再発などの異常所見はなく、経過観察中である。
病理組織学的診断:主に骨髄部分にエナメル器様分化を示す上皮様胞巣、内部には扁平上皮化生や好酸性顆粒状細胞質を伴った細胞を認める(図5)。

図3 手術直後のパノラマX線写真
図3 手術直後のパノラマX線写真
図4 インプラント埋入時のパノラマX線写真
図4 インプラント埋入時のパノラマX線写真
図5 病理組織写真
図5 病理組織写真


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